手段と目的
4月から新しく看護師2名が病院に仲間入りします。
すでに何度か実習という形で来てもらっていますが、私が必ず指導することがあります。
初めは動物の看護といってもまだまだ経験も知識もなく任せることはできないため掃除や雑用といった仕事が主になるのですが、掃除をしているときに必ずこういうことを話します。
「モップをかけたり、掃除機をかけることが掃除の目的ではないよ。きれいにするための手段としてモップや掃除機を使っているんだから、そこを勘違いしてはいけないよ。」
おわかりいただけるでしょうか。
黙って掃除の仕方を見ていると、モップをかけることが目的になっていたり、掃除機をかけることが目的になっていることがほとんどです。きれいにすることが目的であることを忘れているので、モップで拭いても落ちない汚れはそのまま、掃除機をかけたところにゴミが落ちていても気づかず?です。これでは本末転倒ですね。
手段と目的を混同しないこと。
たかが掃除、されど掃除です。
この気持ちの持ち方はとても大事なことだと私は考えています。
動物に関わる仕事をしてく上で、この部分をなおざりにすることがあってはいけません。
私たちの仕事は普通は動物の病気を治すことですが、時にはそうでないケースが起こります。
実は病気を治すことは手段であって本当の目的ではありません。
本当の目的は、動物と飼い主が幸せに暮らすこと、です。
その手段として病気を治すとか、予防をするとかが存在するのだと思います。
もちろん、多くの場合は病気を治すこと=幸せに暮らすことが成り立ちます。
しかし、時にはそうでないケースが生じます。そのときに何が何でも入院して治療することは,誰を幸せにするのでしょうか?
私自身はいつもこのことを忘れないように動物とその飼い主さんに接するよう気をつけています。
初めて社会人として働き始める2人には、いろいろ覚えることもあって大変ですが、このことだけは忘れず仕事をしていってもらいたいものです。