ムーンフェイス
3月に入り狂犬病予防注射が始まっています。
当院ではワクチン接種のご案内をするときに、
「なるべく午前中で、注射の後どなたかが一緒に過ごせる日時に来てください」
とお話をさせて頂きます。(この理由でわざわざ出なおしていただくこともあります)
これにはもちろん理由があります。
ワクチン接種は、発症すると重篤な状態になったり治りにくい感染症を防ぐために行います。
ほとんどの場合、動物の健康状態に影響することはないのですが、稀に副作用を起こすことがあります。ワクチンに対するアレルギー反応です。
これが起こる確率はおよそ1万頭に1頭程度と言われています。
実際に起こるアレルギー反応のなかで最も経験するのが、「ムーンフェイス」と言われるケースです。
典型的には、ワクチン接種2~6時間ほど経過して、顔面のかゆみ、腫れを特徴とした変化が見られます。
※プライバシー保護のため、一部画像加工しています。
マズル(鼻の周囲)が腫れ、まぶたも赤くなっているのがわかると思います。
元々はこんなに美人さんです。
※別の日に撮ったものです。
ワクチンの過剰反応を抑えるため、ステロイド剤と抗ヒスタミン剤の注射をして、この子の場合は数時間後には治まって来ました。
中にはしばらく反応が続く例もあります。
一度、アレルギー反応を起こした場合は次の年のワクチン接種をどうするか、飼い主さんとよく相談していきます。
最初の部分に戻りますが、万一こういう状態になった場合に、すぐに対応させていただきたいため、午前中でかつその後一緒に過ごせる日時での来院をお勧めしています。
狂犬病のワクチンは混合ワクチンに比べると副作用の発生率は低いのですが、個人的には狂犬病の集合注射は犬の性格によってはリスクが高くなるのではないかと思っています。
たくさんの犬たちが集まり、興奮状態になってしまうような性格の子では体温、血圧、心拍数などが上昇してしまうため、ワクチンの吸収が速くなってしまい、場合によってはアレルギー反応が起きやすくなったりするかもしれません。
狂犬病の予防注射は原則として、6月末までに各動物病院で接種が可能です。
当院でも、狂犬病予防注射のみで来院の場合、すでにカルテを作っていただいている場合は診察料は無料です。
(初診の方はカルテ作成料がかかります)
稲城市にお住まいの場合は、登録手続きをサービスで行なっていまので、ご利用下さい。