猫の子宮蓄膿症
「子宮蓄膿症」といえば、避妊していない中〜高齢の雌犬ではトップ3に入るほどの頻度で遭遇する病気ですが、猫ではなかなか遭遇する機会はありません。
犬に比べて避妊手術をしている割合が多いことや、発情の仕組みが犬とは異なるためと考えられます。
そんな珍しい猫の子宮蓄膿症の手術を行いました。
しかも、今回の子は、まだ生後半年に満たない若い猫さんでした。
「猫の様子がおかしい。陰部からなにかでてきている」
そういって飼い主さんが猫を連れてこられました。
診せてもらうと、確かに陰部からこんなものが・・・。
お腹の触診でも硬い子宮に触れます。写真のように膿みが出てきているので子宮の腫れはほとんどないようでした。
今のところ、元気もあり食欲もあるとのことでしたが、もともと避妊手術も予定していたため、少し早めの月齢で体重も3kgに満たない子でしたが手術を行うことになりました。
※ここからは手術中の写真が出てきます。
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
通常よりやや広めに開腹し、子宮を取り出します。
子宮は発情時のようにやや硬く収縮ぎみでしたが、発情時とは異なりところどころ充血しています。
手術そのものは通常の避妊手術とほぼ同じように行えましたが、子宮の切断部位は内部が膿みで汚染されていたため、消毒をして”内反縫合”という方法で処理しました。
摘出した子宮に切開を加えたところです。
内部にはこんな膿みが溜まっていました。
幸い、開放性でこの汚い膿みがあまり体内に吸収されず排泄されていたため、重篤な状態にはならずに済みました。
当日の夜から、病院でもご飯を食べることができたことと、傷口も4cm程度に収まっていたので1泊の入院でお帰ししました。
個人的には、猫はなるべく入院させない方がストレスをかけないで済むと思っています。
ちなみに、10年以上犬猫の診療を中心に獣医師をしていますが、猫の子宮蓄膿症はまだ片手程度の症例経験です。